JICA研修視察

去る10月5日に、サンゴ類養殖の研修として大洋州諸国(フィジーやトンガなどの島々)の方々が視察に見えました。
昨年もいらしたのですが、天候が悪く実際の海域を視察する事は出来ませんでしたので、今回はどうしても「見たい」という要望です。

ちなみに、これらの国々の方にとってサンゴ類養殖はサンゴ礁保全という意味ではありません。
アメリカなどへ観賞用(アクアリウム)として輸出する経済的資源です。
現地では外資系企業がトレードを行う為の大規模な設備を有して、漁師からサンゴ類の買い取りを行っています。

で、そうした国々の行政担当者が沖縄をモデルに持続可能な水産資源の活用を計画する為の研修を行っています。(サンゴ養殖は、色々あるテーマの中の一つです)


スケジュールは午前中に我々の養殖課題や方向性などの説明をして、午後から現場で視察です。
この午前中の説明ですが、昨年とほぼ同じメンバーなので、とてもストレートで具体的な話し合いが進行しました。

JICA研修視察

観賞用としてのサンゴ類養殖商材には、「ライブロック」という商品があるのですが、実はこの商材こそが彼らの視察対象でもあります。
我々もこのライブロックを観賞用市場へ販売しているので、USドル換算でのトレード内容やワシントン条約(サイテス)の話しなど、本当にリアルな情報が飛び交います。

JICA研修視察

そして午後は、養殖現場での視察ですが、ここでも養殖ライブロックや養殖ソフトコーラルを見ながら「ぶっちゃけ」で話しをしてくれと要望されます。

そこで本当の話しをするのですが、誰も信じてはくれません。
何か特別な事をしていると思われているようですが、実はそんな訳ではないのです。
彼らの国々で行われている事より、かなり前近代的な手法だったのかもしれません。

人間も自然の一部として捉える日本人的気質でしょうか?
自然に逆らわず、生物がどういう方向へと成長しようとしているのか、そういう事を受け入れてやっているだけなのです。

最後に我々研究班がこれらの国々の方々へのまとめとして提案しているのは、「ライブロック」を活用した総合的なサンゴ類養殖と地域間で連携したトレードモデルの構築です。

単一種類の養殖を隔離的に行うのではなく、複合的な種類の養殖を立体的に行う事で生物層を増やし、その中で養殖商品を作るという事、そしてこうした養殖商品作りを様々な市場にセールスするモデルを地域間で連携しながら作る事。

海で繋がりあい関連しあいながら生息している生物、その海の恵みを多様に活用している私たちも、また繋がりあっています。
巷で言う持続可能性とは、これらを部分的に捉えて効率化するのでなく、繋がりを総合して効率化していく事だと思います。

ただし「繋がりを総合して効率化する」という考え方は正直、理想論です。
結果として、「そうなった」という知恵を積み重ねていくしかないのでしょう。





Posted by サンゴ養殖研究班 at ◆2010年11月24日16:25
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